パソコンはわれわれの生活に必須の存在であり、ビジネスユースからホームユースまであらゆる場面で活用されています。
その一方で、2030年までにSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みが世界各国で進められており、パソコンの利用に関してもSDGsを意識することが求められます。
そこで今回は、パソコンを利用するなかで、SDGsにどう貢献できるかを見ていきましょう。
SDGsでパソコンに関連する項目と解説
パソコンは非常に多くの電子部品を使い、かつ、ライフサイクルがとても短いことから、環境負荷の高い製品というイメージを持たれる方も多いでしょう。
実際、使用済みのパソコンの多くは廃棄処分されており、プラスチック、鉄、銅などに分別してリサイクルされ、リサイクルできない部品は焼却や埋め立ての処理がされています。
特に近年は、環境問題への意識の高まりとともに、リサイクル率やリユース率は着実に増えています。
これは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」にも関わることなので、使用済みのパソコンとSDGs目標12の関係を丁寧に解説します。
パソコンのリユースとリサイクル
使用済みのパソコンは「資源有効利用促進法」により、メーカーによる回収とリサイクルが義務づけられており、家庭用パソコンも事業用のパソコンもメーカーに回収・リサイクルしてもらえます。
これは裏を返せば、パソコンをごみとして捨てることは法律上、許されないことを意味しています。
従って、不要なパソコンが発生した場合は、リユース企業に売却したり、メーカーに回収してもらったりなど、処分できる方法が限られています。
それでは、パソコンのリユースとリサイクルに着目して、詳しく述べていきます。
パソコンのリユースとは
リユースとは「再使用」のことで、使用済みとなったパソコンを回収して、クリーニングなど適切な処置を施し、外見や形を変えないまま中古品として再使用を図ることです。
買取店に持ち込めば査定して買い取ってもらえるので、現金収入が得られる、ごみがほとんど発生しない、購入者は低価格で入手可能などのメリットはあります。
しかし、最新機種に比べるとスペック面で劣る、ノートパソコンであればバッテリーの劣化が著しい場合があるなどがデメリットとして挙げられます。
パソコンのリサイクルとは
リサイクルとは「再生利用」のことで、回収済みのパソコンを手作業で部品ごとに仕分け、再資源化して別の製品に生まれ変わらせることです。
非常に古いモデルであったり、破損していたりなど、リユースが見込めないパソコンは、処分してリサイクルに回されます。
前述の通り、パソコンはごみとして捨てられないので、再使用の見込めないパソコンはどこかで回収・処分してもらわなければなりません。
①パソコンメーカーに依頼する、②自治体に依頼する、③家電量販店に依頼する、④無料回収業者に依頼するのが、主な処分方法です。
①メーカーに依頼する場合
「PCリサイクルマーク」がついている機種であれば、無料で回収してもらえますが、PCリサイクルマークがない場合は処理料金が発生します。メーカー指定の送り先に送る必要があるので梱包などの手間はかかりますが、デーを確実に消去してくれるので安心です。
②自治体に依頼する場合
自治体が設置している回収ボックスに入れればよいので手軽ですが、パソコンの回収を実施している自治体は少ないです。また、投入口に入るサイズのパソコンしか回収してもらえないので、ノートパソコンに限定されます。
③家電量販店に依頼する場合
持ち込み可能な家電量販店であれば、非常に手軽に処分できます。店によって有料だったり無料だったりするので、事前に確認しましょう。
④無料回収業者に依頼する場合
自宅の玄関に置いておけば、無料で回収しますといった内容のチラシを見ることがありませんか。家まで取りに来てくれてかつ、無料と非常にメリットを感じると思います。ただし、素性がはっきりしない業者も存在するので、データの消去は自身で確実に行いましょう。
パソコンのリユースとリサイクルでの注意点
パソコンのリユースやリサイクルで最も懸念されるのが、ハードディスクやSSDに保存されている情報の流出です。
データを完全に消去せずにパソコンを処分すると、保存してあった個人情報が流出し、第三者に悪用される恐れがあります。
パソコンを手放す際は、不要なものということでどうしても極力費用をかけずに処理したいという気持ちになるでしょう。
しかし、必要なコストを惜しんだために、重要なデータが流出してしまったら元も子もありません。
パソコンをリユースやリサイクルに回す際は、細心の注意を払ってください。
パソコンのデータを安心に消去するために
パソコンのデータは、ファイルをゴミ箱に捨ててゴミ箱を空にすればすべて消去されると思われる方は多いですが、残念ながらそれだけでは十分とは言えません。
ゴミ箱を空にしても見かけ上はファイルがなくなっただけで、ディスク内にデータは残っており、復元ソフトを使えば大部分のファイルを容易に復元できてしまいます。
従って、パソコンを処分する際は、データの消去を確実に行ってくれる信頼できる業者に処分を依頼する、データ消去専門のソフトを購入して消去する、ディスクを物理的に壊す、といった処置が必要です。
パソコンに保存されているデータの機密性に応じた消去方法を選択するとといでしょう。
データ消去証明書を活用した安全なパソコンの再利用を
2019年12月に神奈川県庁で発生した「世界最大級の情報漏えい事故」と言われる事件では、リース返却前にHDDに対して初期化したにも関わらずデータが流出しました。総務省はこの事件をきっかけに、2020年12月にはセキュリティポリシーに関するガイドラインを改定し、情報機器の廃棄やリース返却時にも、元のデータの復元が困難な消去方式と、データ消去証明書を求めるようになりました。
SDGsを見据えたパソコンの再利用を考えると同時に、情報漏えいに関しても考慮する必要があります。
まとめ
今回は、パソコン利用でできるSDGsについて、特にパソコンのリユースとリサイクルに着目して詳しく見てきました。
パソコンは今のわれわれの生活に欠かせないものであり、あらゆるところで使用されています。
当然、不要となるパソコンは膨大な数になりますが、SDGsの目標達成に向けて、使用済みパソコンは必ず適切な方法で処理しなければなりません。
もし、皆さんがパソコンを処分することになったら、データの漏洩に注意しつつ、環境に悪影響を与えないように処理できているかにも目を向けてください。