【SDGs入門講座】IT分野で可能なSDGsとは?

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近年、いろいろな場面でSDGsが取り上げられており、多くの国や企業でSDGsに関連したさまざまな取り組みが進められています。

また、IT技術の進歩も目覚ましく、グローバルでDXを始めとしたIT技術を駆使した取り組みも推進されていることはご存じのことでしょう。

SDGsの目標達成に向けてIT分野でも様々な活動が進められているので、今回はIT分野で可能なSDGsに焦点を当てて見ていきます。

 

SDGsとは

SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、日本語では「持続可能な開発目標」と言います。

貧困や気候変動など、人類はこれまでになかったような多くの課題に直面しており、今のままでは人類がこの世界で暮らしていけなくなると危惧されています。

そのような危機感に対して、世界中の人々が話し合い、課題を整理し、解決方法を考え、それを2030年までに達成すべき具体的な17の目標として明確にしたものがSDGsです。

 

SDGsの各企業の取り組み

日本では首相を本部長とした「SDGs推進本部」が設置されており、SDGsの達成に貢献する優れた取り組みを行う企業・団体を表彰する「ジャパンSDGsアワード」を創設するなど、SDGsに関連する取り組みを支援しています。

例えば、2021年に本部長賞を受賞したユーグレナ社では、世界で初めてユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術を確立したり、豊富な栄養素を含んだユーグレナクッキーをバングラデシュの子どもたちに配る「ユーグレナGENKIプログラム」を立ち上げたりといったことに取り組んでいます。

身近なところに目を向けると、スターバックスコーヒーではカップ、ペーパーバッグ、ナプキンなどの紙製品にFSC認証紙を採用してきましたが、ストローもFSC認証紙の紙ストローへ切り替え中です。

また、ファミリーマーケットでは、家庭で余っている食品をファミリーマートの各店舗に寄付し、地域の自治体などを通して支援が必要な方に届ける「ファミマフードドライブ」に取り組んでいます。地域の支援と食品ロスの解消を狙った、一石二鳥の活動と言えるでしょう。

このように、身近なところでもSDGsの目標達成に向けた取り組みが進められています。

 

デジタル化の役割と経済効果

みずほ総合研究所によると、ITを活用することによる経済効果は12.5兆円で、特に通信・卸売業での効果が大きいとのことです。

近年はデジタル化の範囲が広がっていることや、投資目的が業務の効率化から付加価値創出にシフトしつつあることなどから、経済効果はさらに拡大する可能性があると述べています。

デジタル化はSDGsに関わる領域にも着実に浸透しており、IT分野で経済効果を生み出しつつSDGsの目標達成に貢献することが期待できます。

 

IT分野で取り組めるSDGs

それでは、IT分野で取り組めるSDGsを目標8、目標9、目標12に絞って具体的に見てみましょう。

 

目標8.働きがいも経済成長も(技術革新、雇用創出など)

この目標は、すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用および働きがいのある人間らしい仕事を推進するものです。

ITを活用した働き方改革により、労働者にとって働きやすい職場環境作りが進められています。日本の場合、働く意欲はあるのに働く環境がライフスタイルに合わないために働けない、という人も多く、これが女性の社会進出を妨げる要因の一つとされています。

そのような人たちが働きやすい職場を見つけ無理なく働けるようになれば、本人のやりがいにつながるだけでなく、労働力の確保や生産性向上にもつなげられます。

例えば、チャットツールや社内SNSを使ってコミュニケーションや意思決定をしやすくしたり、RPAで業務の効率化を進めたり、ウェブ会議やテレビ電話でリモートワークを実現したりといったことが挙げられます。

 

目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう(企業のIT基盤導入支援など)

この目標は、強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を狙っています。

日本政府や経団連は、目標達成の手段の一つとして「Society 5.0」の実現を目指しています。Society 5.0とは、「人工知能(AI)やIoT、ロボット、ビッグデータなどの革新技術をあらゆる産業や社会に取り入れることにより実現する新たな未来社会の姿」のことです。

スパコンを高速ネットワークでつないだり、Society 5.0を支えるIT分野の研究開発を推進したり、スマート農林水産業を推進したりといった取り組みが進められています。Society 5.0を工業分野に限らず、農林水産業やサービス業など多様な分野に広げることで、あらゆる産業で持続可能な産業化の促進及び技術革新の推進を図っています。

 

目標12.つくる責任 つかう責任(再生利用、廃棄物の管理など)

この目標は、持続可能な消費と生産のパターンを確保することを目指しています。ここもデジタル技術の貢献が期待されている領域です。

例えば、センシング技術を活用して品目ごとに最適な温度で輸送することで食品ロスを減らしたり、AIで最適な販売数を高精度に予測して無駄な発注を抑えたり、家庭にある食材を組み合わせて作れるレシピや買い足す食材候補をAIが提案したりするような、食品ロス削減のソリューションなどが開発されています。

再生利用に関しては、環境省が「資源循環×リサイクル」プロジェクトの始動に向けて準備しています。

具体的には、①回収からリサイクルまでの一連の過程に、情報システムを導入することによるリユース・リサイクルの一体的運営、②工場排出物管理情報の一元化による、リサイクル事業者・素材事業者などとの間のコミュニケーション促進、の2テーマについて実証試験を進める予定となっています。

また、われわれの生活において必須のツールであるパソコンのリサイクルやリユースも盛んに進められています。パソコンの部品にはレアメタルと呼ばれる貴重な資源が使われていますが、リサイクルやリユースで資源を循環させることで、新しい資源の利用の抑制が期待できます。

 

まとめ

今回は、IT分野で可能なSDGsについて、具体的な取り組みを見てきました。

デジタル技術の進歩に伴って、高度なソリューションの提供が可能になっており、SDGsの各目標の達成においても重要な役割を果たすことが期待されています。

事実、IT分野でもSDGsを念頭に置いた取り組みが各所で進められており、SDGsの達成に貢献できる技術やビジネスが生まれています。今後もIT分野では、さまざまな取り組みの推進が期待できるので、その動向に注目しましょう。