ガバメントクラウドとは~できることや仕組みをわかりやすく解説~

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『ガバメントクラウド』という言葉を聞いたことはありますか?

一言で言うと、ガバメントクラウドとは、”行政のシステムをクラウド上で管理・運用できるようにしたもの”です。

ITに詳しい方であれば、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、そうでない方にとっては、なかなか耳にする機会はないかもしれません。

今回は、ガバメントクラウドについて、ITに詳しくない方にも分かりやすいように解説していきます。

ガバメントクラウドって何?

「ガバメント」とは、日本語に訳すと”政府”という意味があり、ガバメントクラウドは、別名「政府クラウド」とも呼ばれています。

2021年9月に発足したデジタル庁で、マイナンバーカードの普及など、様々な分野をデジタル化していこうという動きがありますが、そのひとつがガバメントクラウドです。

ガバメントクラウドが導入されることによって、例えば、住民基本台帳、税、国民健康保険、国民年金などの行政の業務システムが統一され、クラウド上で一元管理・運用ができるようになります。

出典:デジタル庁 デジタル社会の実現に向けた重点計画

デジタル庁 ガバメントクラウド政府共通のクラウドサービス環境であり、様々なサービスを素早く高いセキュリティを確保して提供することを目指しています。国および地方公共団体・地方自治体、私たち国民一人一人にも利点があるクラウドサービスです。

そもそもクラウドって何?

では、先ほどから何度も登場している『クラウド』とは、何なのでしょうか。

クラウドとは、“ユーザーがハードウェアを購入したり、ソフトウェアをインストールしたりしなくても、インターネット経由でアクセスして利用できるサービス”のことです。

代表的なものだと、GmailやGoogleマップがクラウドサービスになります。

従来、メールを利用する場合、パソコンにOutlookなどのメールソフトをインストールして設定を行うことでメールを使うことができます。ただ、この場合、メールソフトをインストールしたパソコンでしかメールを見ることができません。

ですが、Gmailのようなクラウドサービスを利用すると、メールソフトをインストールしていなくても、インターネット経由でGmailにアクセスできれば、パソコンからでもスマホからでもメールの利用ができます。

このように、“ユーザーがソフトウェアを持たなくても、インターネットにアクセスできれば、サービスを必要な時に必要な分だけ使える”というのがクラウドです。

ガバメントクラウドができた背景

ガバメントクラウドができた背景として、大きく関わってくるのが「デジタル・ガバメント実行計画」です。

デジタル・ガバメント実行計画とは、2016年12月14日に「官民データ活用推進基本法」が成立し、行政手続きのオンライン化や、様々なデジタルサービスの普及などの施策が、政府の取り組みとして義務付けられました。

また、官民データ活用推進基本法を具体化するものとして、すべての国民がデジタル化が進むことによって、利便性や効率化が得られるという政府のIT戦略である「デジタル宣言・官民データ計画」が立てられ、国としてデジタル化に向けて大きく動き出したのが、このデジタル・ガバメント実行計画です。

デジタル・ガバメント実行計画を実現するためには、情報のデジタル化、また、業務システムの統一が必要です。

ただ、現状は国の行政機関や地方公共団体は、それぞれが独自で業務システムを開発し、運用を行っている状況で、業務システムの統一がされておらず、データや各機関との連携がとれない、システムの保守や運用管理も各自で行っているなどの問題点がありました。

そこで、このような問題点を解決すべく導入されたのが、ガバメントクラウドなのです。

ガバメントクラウドのメリット

国がガバメンドクラウドという、共通のプラットフォームを提供することによって、行政に関わる業務システムを統一でき、データが一元管理されるので、行政機関や地方公共団体の連携がとれるようになります。

行政機関や地方公共団体のシステムやデータが連携されれば、様々な手続きがオンライン上で完結することができるので、私たちの利便性も高まります。

さらに、行政機関や地方公共団体でシステムやサーバを導入する必要がなくなるので、運用コストの削減も可能となります。

ガバメントクラウドが実現するとどうなるか?

ガバメントクラウドが実現することによって、私たちはスマホなどでいつでもどこでも、行政のサービスをオンライン上で利用できるようになります。

オンライン上で手続きができるようになれば、役所に行く必要がなくなるので、役所に行くまでの時間や交通費、役所で手続きを待つ際の待ち時間も発生しません。

また、気になるセキュリティ対策も各機関や地方公共団体が個別で行う必要がなくなり、利用者は、最新のセキュリティ対策のもとで、安心してサービスを利用することができます。

ガバメントクラウド対象クラウドサービス

令和4年度までガバメントクラウド対象クラウドサービスは下記の4つのクラウドサービスでした。

  • Amazon Web Services
  • Google Cloud
  • Microsoft Azure
  • Oracle Cloud Infrastructure

令和5年度新規募集分ガバメントクラウド対象クラウドサービスとして、さくらインターネットが新たにガバメントクラウド提供事業者に選ばれました。
日本の国内企業としては初めて認定されています。なお、2025年度末までに全ての要件を満たすことが条件付きとなっております。

ガバメントクラウド対象クラウドサービスの決定

これにより国内企業が提供するクラウドサービスが利用出来ることになり、自治体にとっては新しい選択肢が広がったことになります。

まとめ

このように、ガバメントクラウドとは、国をあげてのデジタル化への一歩と言えるでしょう。

ガバメントクラウドが実現することによって、行政の連携がとれるようになり、私たちの生活の利便性アップにも繋がってくるのです。

ワンビ株式会社
セキュリティエバンジェリスト 井口 俊介

高等専門学校卒業。大手企業のミッションクリティカルシステムのアカウントサポートを担当。
その後プロジェクトマネージャーにてITインフラの導入に携わる。
2020年からワンビ株式会社でエンドポイントセキュリティのプリセールスとして従事。営業技術支援、セミナー講演、コラムの執筆など幅広くセキュリティ業務に携わる。