国・省庁・地方自治体などがテレワークを推進
働き方改革の一環として、民間企業だけでなく国・官庁・地方自治体などの機関もテレワークを推進しています。
リモートワークの環境を整えるにはルールや仕組みが大切になるため、テレワークガイドラインが必要とされます。
本コラムでは、民間企業や自治体など私達がテレワーク導入の検討をするために、厚生労働省が公開しているテレワークガイドラインのポイントなどをご紹介します。
分かりやすく厚生労働省のテレワークガイドラインと略していますが、正式には「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」となります。
厚生労働省とは
厚生労働省は、社会福祉、社会保障、公衆衛生、働く環境、職業の安定・人材の育成などを総合的に推進する省庁です。
2001年1月に、厚生省と労働省が統合されて設立され、具体的な業務には以下のようなものがあります。
社会福祉と公衆衛生
厚生労働省は、保育から介護までの社会福祉や、薬品や食品の安全に携わる公衆衛生を推進します。
社会保障
厚生年金、国民年金、医療保険などの社会保障制度を運営し、国民の生活を支えます。
労働環境
働く環境の改善や労働基準の監督を行い、職場の安全と健康を守ります。
人材育成と職業安定
職業訓練や雇用の創出を通じて、国民の自立支援と能力発揮の機会を提供します。
厚生労働省の役割は、日本国民の生活の質を向上させることにあり、これを実現するために、様々な政策とプログラムを策定・実施しています。 また、社会の変化や課題に対応しながら、国民の健康や福祉の維持・向上に努めています。
日本企業の働き方における課題とテレワークの関係
日本の企業では働き方に関していくつかの課題があります。
新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが急速に普及しましたが、テレワーク制度の確立や効果的な運用、コミュニケーション、生産性などが課題となっています。
日本の企業文化は対面でのコミュニケーションが重視される傾向があり、上司や同僚との直接のやり取りが信頼関係の構築に必要だと考えられる文化や、長時間働くことが努力や貢献の証とされる風潮が未だに根強く、職場に長くいることが評価されるケースが多いことも完全には払拭できていません。
インターネットやインフラストラクチャ、セキュリティ対策などの技術的な課題もまだ残っており、 一部の企業ではテレワークの導入に必要な環境が整っていない場合もあります。
特に、パソコンを持ち出すことに対しての情報漏洩やセキュリティリスクに対する懸念が強く、機密情報を取り扱う場合はテレワークの導入に慎重です。
しかし、これらの課題の解決や改善に取り組まない企業は世の中から遅れをとってしまうリスクがあり、重要な課題となっている一人あたりの生産性の向上に繋がらないため、効率的な働き方が求められています。 今回取り上げる厚生労働省が公開するテレワークガイドラインは、民間企業などを対象にテレワークの導入と運用に必要な具体的な手順や対策を提供し、企業が適切にテレワークを実施できるよう支援しています。
厚生労働省のテレワークガイドラインの概要のポイント
厚生労働省は、企業等に雇用される労働者が行う、いわゆる雇用型テレワークについて、適正な労務管理下における良質なテレワークの普及促進のための施策を行っています。
「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」として厚生労働省のホームページからガイドラインが公開されています。
なお、令和3年3月にテレワークガイドラインを改定されたものが現在の最新版となります。
【ガイドライン】
- ガイドライン概要
- テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン
厚生労働省が公開している資料から「ガイドライン概要」から、ポイントを要約しましたので参考にしてみてください。
テレワークの導入に際しての留意点
- 労働者および企業にも双方でメリットがあるものであるため、十分に話し合いルールを定めることが重要
- 労働者および企業が一方的に決めるのでは無く、しっかりと話し合い導入すること
- テレワークが難しい業種や職種であっても、個別の業務であれば実施できる場合もあり、業務遂行の方法の見直しを行う
- 正規・非正規などによる雇用形態の違いのみで、テレワークの対象・非対象とならないようにも考慮が必要
- コミュニケーション方法の確立やペーパーレス化など、実際にテレワークをする上で支障となり得ることは企業全体として改善に取り組む
労務管理上の留意点
- 人事の評価についての適切に実施する必要がある
- 例えばテレワークをしていないから評価が高いなどは適切ではない
- 在宅勤務などにおける業務の費用等も検討が必要
様々な労働時間制度の活用
- テレワークを実施しやすい労働時間制度に変更することが可能
- フレックスタイム制度はテレワークになじみやすい
- 必ずしも一律の時間に労働が必要ない場合、労働者ごとに自由を認めることも可能
テレワークにおける労働時間管理の工夫
- 労働時間管理の把握には情報通信技術を活用する等
- 長時間労働対策のために休日時間外や深夜などはメールやシステムへのアクセス制限なども考えられる
- 安全衛生に配慮した仕事ができるように、自宅等以外にもサテライトオフィスの活用などを検討する
- テレワークにおける災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となる。
- テレワークの際にも、オフィスに出勤する働き方の場合と同様にハラスメントの防止対策を十分に講じる必要がある 情報セキュリティの関連技術の進展状況等を踏まえ、解決方法の検討を行うこと
テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインのダウンロードはこちら
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 雇用・労働 > 雇用環境・均等 > テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン
厚生労働省のテレワークのパンフレット・リーフレット・チェックリスト・その他
この他にもパンフレット・リーフレット・チェックリストが公開されています。
労働者や事業者向けにそれぞれファイルが分かれており、配布も可能なようです。
チェックリストについては編集出来るようにエクセルファイルで公開されています。
【パンフレット】
●テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインパンフレット PDF形式
【リーフレット】
●(事業主、企業の労務担当者の方へ)テレワークガイドラインを改定しました PDF形式
●(労働者の方へ)テレワークガイドラインを改定しました PDF形式
【チェックリスト】
●テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト【事業者用】 エクセル形式
●自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト【労働者用】 エクセル形式
【その他】
テレワーク総合ポータルサイトでは、テレワーク導入企業の取り組み事例、セミナーやイベント情報、テレワークの様々な情報を確認できます。
派遣労働者のテレワークで疑問があればこのQ&Aも参照してください。
詳細につきましては実際の公開資料をご確認ください。
まとめ
厚生労働省は労働環境の多様化と働き方改革の推進を目的とし、企業や労働者がテレワークを導入・実践する際のガイドラインを指針として提供しています。
このガイドラインを活用する事でテレワークを効果的に導入し、持続可能な働き方を実現するための方法を提示してくれています。
ガイドラインのポイントや全体像をおさえつつ、更に情報収集をして快適で安全なテレワーク環境を目指しましょう。
<お知らせ:テレワークの適切なセキュリティ対策>
本コラムを執筆しているワンビ株式会社では、テレワークの導入をご検討頂いている皆様に対して、パソコン向けのセキュリティソフトウェアのTRUST DELETEを提供させて頂いております。
テレワークでは実際にパソコンを持ち出す必要があるため、万が一パソコンが紛失・盗難の被害にあうと重要なデータの情報漏洩や不正アクセスが発生するリスクがあります。
そのようなセキュリティリスクに場合に備えて、持ち出すパソコンにソフトウェアを予めインストールしておくことにより、もしもの時に遠隔からロックやデータ消去を行い不正利用の防止が可能なセキュリティ対策を実現できるようにしています。
ますます重要になるセキュリティ対策について、情報収集やご検討されている方、既にテレワークは実施しているけれどもセキュリティ対策のTRUST DELETEでパソコンの情報漏洩リスクを強化したい方は是非とも弊社にお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
ワンビ株式会社
セキュリティエバンジェリスト 井口 俊介
高等専門学校卒業。大手企業のミッションクリティカルシステムのアカウントサポートを担当。
その後プロジェクトマネージャーにてITインフラの導入に携わる。
2020年からワンビ株式会社でエンドポイントセキュリティのプリセールスとして従事。営業技術支援、セミナー講演、コラムの執筆など幅広くセキュリティ業務に携わる。