情報処理安全確保支援士とは?|登録セキスペの概要と役割を解説
「情報処理安全確保支援士」は、2017年に創設された比較的新しい資格であり、情報セキュリティ分野の専門家を国が認定する国家資格です。
過去は情報セキュリティスペシャリストという名称・区分でしたが、現在は「情報処理安全確保支援士」に変更されています。
試験に合格後、希望者は「登録セキスペ」(登録情報セキュリティスペシャリスト)として経済産業大臣への登録を行うことで、正式に「登録セキスペ」と名乗ることができます。
一般的な国家資格とは異なりユニークな点は、登録後も継続的な知識の更新や講習の受講が義務付けられ、セキュリティの専門職としての信頼性を保ち続ける仕組みとなっています。
情報処理安全確保支援士は、企業のIT部門はもちろん、自治体や病院、教育機関などでもその専門性が求められており、キャリアアップや転職市場においても注目度の高い資格です。
2024年12月に日経BPの技術系サイトの日経クロステックが、IT資格実態調査を実施して「これから取得したい資格トップ20」の結果によると
46種類のIT資格の中から「これから取得したい」ものとして、プロジェクトマネージャと同率で1位になっています。

出典:これから取得したい資格トップ20 日経クロステック/日経コンピュータ
筆者は過去に情報処理安全確保支援士試験に合格しており、今回は「情報処理安全確保支援士」を目指す方に幅広い情報をご紹介させて頂きます。
なぜ人気?情報処理安全確保支援士がIT業界で注目される理由
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)は、近年、IT業界や企業の人事・教育部門から高い評価を受けている注目の国家資格です。
その背景には、サイバーセキュリティの重要性が高まっている現状があります。
インターネットやクラウドサービスの普及により、あらゆる業種・業界で情報セキュリティのリスクが増大し、こうした状況の中で、信頼性のあるセキュリティ人材の育成・確保が急務となっており、国もその一環として情報処理安全確保支援士制度を創設しました。
この資格が注目される理由は下記の様なことがあります。
・国家資格としての信頼性
経済産業省所管の国家試験に基づくため、企業や社会からの評価が高い。
・実務に直結した知識とスキル
セキュリティ対策の現場で即戦力となるスキルが求められる。
・情報セキュリティに特化した専門性
一般的なIT資格とは異なり、サイバー攻撃対策や法制度など、専門性の高い内容を扱う。
・登録制度によるスキル維持
合格後の登録により、継続的な学習とスキルのアップデートが義務付けられる。
・企業からの評価や手当支給の対象
企業によっては資格取得者に対し、資格手当や昇進要件として位置づけているケースもある。 DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、企業はセキュリティリスクと向き合う必要性が高まっており、情報処理安全確保支援士のニーズは今後さらに拡大すると見込まれています。
情報処理安全確保支援士の難易度は?合格率・合格ライン
難易度
情報処理安全確保支援士試験は、国家資格である情報処理技術者試験のうち、高度区分に分類される試験です。
そのため、一定のIT知識や実務経験が求められ、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)によると、情報処理安全確保支援士試験は、レベル4に分類されています。
受験者の多くは、IT業界での実務経験者や、基本情報技術者や応用情報技術者試験の合格者ですが、レベル4から挑戦することも可能です。

合格率と合格ライン
資格の難易度は比較的高いため、合格するには計画的な学習と実務的な理解が必要です。試験は年に2回(春・秋)実施され、試験区分は以下の4つに分かれています。

全ての区分で基準点を超える必要があるため、「一部だけ高得点」では合格できません。年度により若干の差はありますが、近年の合格率は15~20%前後となっています。午後問題は、大きな「問」が複数あり、その中から解答する「問」を自分で選択が可能です。
※近年では午後Ⅰと午後Ⅱが見直されて、午後Ⅰのみとなり試験区分が統合されました。
情報処理安全確保支援士を取得するメリット|転職・キャリアへの効果
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)は、取得することで転職やキャリアアップ、年収の向上にもつながる可能性があります。
・転職市場での評価が高い
情報セキュリティの専門資格として、企業の求人条件に含まれるケースがあります。
特に金融、通信、官公庁、医療など「セキュリティ要件の高い業界」での評価が高い傾向があります。
・キャリアアップ・昇進に有利
社内のセキュリティ関連業務や昇進など、一部企業では「高度情報処理技術者試験(レベル4)合格者」を昇進・昇格の条件にしているケースもあるようです。
・年収アップへの期待
企業によっては資格手当や報奨金の対象となっている場合があります。
転職後の年収水準が高くなる傾向があり、専門職としての市場価値が向上しており、比較的高い年収帯に位置するとの報告もあります。
情報処理安全確保支援士の勉強方法・参考書
情報処理安全確保支援士試験は、高度な専門知識が問われる国家資格です。そのため、計画的な学習と信頼性のある教材選びが合格のカギとなります。ここでは、初めて受験を考える方にもわかりやすく、効果的な勉強方法と参考書を紹介します。
勉強方法
全体像の把握と、試験の出題範囲・構成(午前Ⅰ・Ⅱ、午後)を理解することが重要です。
IPA公式サイトの「試験要綱」「過去問題」があり、出題内容が確認できます。
午前Ⅰ・Ⅱは四肢択一形式の知識問題です。
合格のコツは、過去問題を繰り返し説いて、わからない部分は自分で調べて理解しましょう。
実際の試験でも午前ⅠとⅡは過去の問題からも複数出題されているため、とにかく過去問をしっかりと繰り返し解いておくことが一番の近道だと私は思います。
午後問題(記述式)は実際の過去問を使用した練習と慣れが重要です。
午後は記述式で、論理的思考力や実務的な理解が問われ、「問題文を正確に読み取る力」と「自分の言葉で説明する力」が必要となります。
午前はいつも通過できるのに、午後は通過できない。これは試験を突破するためのハードルで、殆どの人に当てはまるため午後をどう攻略するかがポイントです。
筆者も複数回受験をしてようやく合格しましたが、いつも午前は通過するのに、午後Ⅰや午後Ⅱのどちらかで数点足りない・・・というパターンを繰り返して挫折しそうになりました。
知識や努力だけでどうにかならないとも思えるのが、午後問題の厄介なところです。
出題問題が複数あり、受験者はその中から選択して回答することができるのですが、やはり得意分野や得意ではない分野の問題がどうしても混ざります。
つまり、選択できるとはいえ、弱点がなるべくないように幅広く勉強をしておかないと、なかなか太刀打ちできません。
情報処理安全確保支援士の試験は、一発合格する人は稀なので、何度も受験して合格することもあたりまえというイメージでの望むと良いと思います。
おすすめの参考書
私が実際に利用してみて良かったと思う参考書をご紹介します。
情報処理安全確保支援士ドットコム
情報処理安全確保支援士試験(情報セキュリティスペシャリスト)の解説でNo.1を目指すサイトです。特に午前Ⅱは、このサイトの過去問道場を繰り返し解くことが一番の近道です。午前Ⅰを受験する方は、応用情報技術者ドットコムの過去問道場をひたすら繰り返し行いましょう。
情報処理安全確保支援士試験 ALL IN ONE オールインワン パーフェクトマスター
セキュリティ技術の教科書
情報処理教科書 情報処理安全確保支援士
この3つの本は出題範囲を幅広くかつ深く学べるテキストの組み合わせになっています。1つのテキストだけ選ぶとすれば、「ALL IN ONE オールインワン パーフェクトマスター 」かと思いますが、幅広くかつ深く学びたい場合には、他の2冊も繰返し行う事で自信がつきます。
IPAからダウンロードできる過去問
情報処理安全確保支援士の最も詳しい過去問解説
午後対策は過去問を解く&試験に慣れることが重要です。過去の過去問を解いても、次回の試験に同じ試験がでることはありませんが、時間配分と解答方法等には慣れます。実際の過去問はIPAのサイトからダウンロードできますが、過去問の解説についは別途販売されている参考書が有効です。
登録セキスペとは? 情報処理安全確保支援士との違い
情報処理安全確保支援士は、「取得して終わり」の資格ではなく、試験合格後に別途手続きが認可されることで、初めて登録セキスペを名乗ることが可能です。
つまり、情報処理安全確保支援士試験の合格と、登録セキスペが異なります。
登録セキスペとは、「登録された情報セキュリティスペシャリスト」の通称です。
では、試験に合格しただけの「情報処理安全確保支援士」と「登録セキスペ」にはどのような違いがあるのでしょうか?
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構のサイトに詳細が記載されており参考にして頂きたいのですが 試験合格後、経済産業省に対して所定の登録手続きを行った人が、正式に「登録情報セキュリティスペシャリスト」、すなわち「登録セキスペ」として活動することができます。

出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 試験区分一覧
登録すると以下の義務や特典があります
- 継続的な研修の受講(有料講習)
- 守秘義務や倫理規定の遵守
- 「情報処理安全確保支援士」の肩書きを名刺などで名乗れる
- IPAの支援や研修情報へのアクセス

情報処理安全確保支援士のまとめ
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)は、サイバーセキュリティ分野の専門家として国が認定します。
企業や社会における情報セキュリティの重要性が増す中で、この資格への注目も年々高まっています。
「知識を証明するだけの資格」ではなく、継続的に学び、実務で活かすことを前提とした実践的な国家資格です。
情報セキュリティの脅威が多様化・高度化する今、企業は信頼できる専門人材を必要としています。
その一員として活躍できる道を切り開く手段として、情報処理安全確保支援士は非常に有力な選択肢と言えるでしょう。
「セキュリティに強い人材」を目指したい方は、ぜひこの資格取得を検討してみてください。
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ワンビ株式会社
セキュリティエバンジェリスト 井口 俊介
高等専門学校卒業。大手企業のミッションクリティカルシステムのアカウントサポートを担当。
その後プロジェクトマネージャーにてITインフラの導入に携わる。
2020年からワンビ株式会社でエンドポイントセキュリティのプリセールスとして従事。営業技術支援、セミナー講演、コラムの執筆など幅広くセキュリティ業務に携わる。