社員のモチベーションが高まると、以下のメリットが得られます。
- 仕事のクオリティがアップ
- 会社の成長につながる
- 職場全体の雰囲気が良くなる
- 定着率が上がる
- 自然とワークライフバランスが良くなる
このような会社にとっては大きなメリットが得られるために、会社の経営者・上層部の方は社員のモチベーションを上げたいと考えます。しかし、具体的な方法が分からず困っていたり、一応やってはみたものの成果が上がらず悩んでいたり、といったケースが多いはずです。
そこで今回は、社員のモチベーションを上げる効果的な方法を3つ紹介していきます。
1.社員のモチベーションを上げる方法
1-1. 人事評価の透明性・公平性
まず徹底したいのが、人事評価の透明性と公平性の確保です。人事評価が曖昧な会社は、社員のモチベーションが上がりにくいどころか、逆に下がってしまう危険性が高くなります。
きちんとした評価がされないのも問題です。「自分はこれだけ頑張って結果を出しているのに、なにも努力していないやつと同じ評価か……」と感じてしまえば、頑張る意味が見出せず、当然のことながらモチベーションは下がります。
1-1-1自治体職員と同じ人事評価制度はNG
自治体の公務員の人事評価制度はよく注目されます。基本的に地方公務員は、年齢とともに勝手に給料が上がる仕組みです。同期より頑張って働いて結果を出したからといって、それだけ多く評価されるわけではありません。
その結果、NOとはっきり言えない気の弱い女性職員などが仕事を押し付けられるケースが少なくありません。このようなケースは、人事評価の透明性・公平性が担保されていなと、民間の会社でも十分に起こり得ます。
自治体の業務にはマニュアルがあって、その業務の9割はAIに置き換えられるといわれています。こうした業務の性質上、職員のモチベーションを上げずとも、事務作業をそれなりにこなせば業務は円滑にまわります(もちろんノーリスクというわけではなく、夕張市のように財政破綻になる例もあります)。
しかし、利益確保の目標に向かって切磋琢磨しなければならない民間企業では、そうはいきません。社員のモチベーションは会社の行く末を左右する大きな要素ですから、従業員の満足度が下がる要因をほったらかしにするのは、自治体に比べて危険度の桁が違います。
1-1-2人事評価の結果をフィードバック
そこで大事になってくるのは、人事評価のフィードバックをすることと、努力した社員には給与や昇進の面で明確なアドバンテージを設けることです。
実際に厚生労働省が、人事評価・処遇の改善に取り組んだ企業についてその成果を尋ねたデータを公開しています※。
これによると、「人事評価の結果とその理由を本人にフィードバックする」という施策を講じた企業のうち、実に約7割が効果を感じ取っています(約7%が大きな効果を、約63%が一定の効果を感じています)。
このように、しっかりと人事評価の結果をフィードバックすることで透明性や公平性を保つことができます。努力をして結果を出せば良い評価を得られ、そうすればこのような恩恵が得られる(給与・ボーナス・昇進など)、ということを従業員に日頃から周知させておくことが大切です。
上記の人事評価システムを構築することで、「頑張って努力をして同期より稼いでやる」、「結果を出してどんどん出世してやる」といった、社員のモチベーションを喚起させることができ、結果的に組織が活性化します
また、評価のフィードバックに対する社員のレスポンスを反映させて、定期的に評価基準や評価の還元方法などを見直すことも重要です。
※参考:厚生労働省職業安定局「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」
2.モチベーターを上司に据える
社員のモチベーションを上げるためには、その社員自体にアプローチをするよりも、マネジメント能力の高い上司を育成することが効果的です。
部下とのコミュニケーションが上手く、リーダーシップを発揮してプロジェクトを遂行できる上司の下では、部下の意欲も上がりやすく、成長しやすくなります。
反対に、上司がコミュニケーション能力に欠け、コーチングも下手だと、部下の士気は下がり、職場全体に不穏な空気が定着します。
能力の高い上司がいることで、社内全体のモチベーションが上がります。つまり、質の高いモチベーターを育成し、そういった人材を管理職や現場リーダーに据えることが必要です。
具体的な方法として、現在・将来のリーダー層に向けたマネジメント研修があります。そして適切な人事評価制度を実践して、人事部門が能力のあると判断した人材だけを、管理職などに登用するようにします。
3.社員の自己実現欲求に対応する
社内全体のモチベーションアップには、森を見るより木を見る、すなわち、まずは優秀な上司の育成に専念することが大切です。ただ、森を見ることも必要です。
具体例としては、外部研修・英語学習・MBA取得といった費用を会社が負担する体制を作ることです。心理学の側面でいうと、人間がモチベーションを上げるためには、自己実現欲求が充足される必要があります。
自身のスキルアップのための費用を会社が工面してくれることは、実現欲求や承認欲求の解放、満足へとつながります。社員への投資を積極的に行う会社は、概して社員全体のモチベーションが高い傾向があります。
4.社員のモチベーションを上げる方法についてまとめ
社員の意欲を高めて仕事に還元させることは、会社の発展のために不可欠な要素です。社員のモチベーションを上げる方法はいくつもありますが、今回は特に重要で絶対に押さえておくべきポイントを紹介しました。
最初に書いた人事評価の徹底は、民間企業では非常に大切です。自分が頑張ったことを評価されない環境ほど、やりがいのない職場はありません。
今回紹介した事項を参考に、社員の立場になって効果的な施策を講じることが大切です。