一般競争入札の準備を始める時期と入札時の注意点

一般競争入札の準備を始める時期と入札時の注意点のアイキャッチ画像

入札は、中央省庁、地方自治体、地方公共団体やその外郭団体などの公共機関が民間業者に向けて業務を発注する調達制度です。入札には、一般競争入札、指名競争入札、随意契約があり、今回は一般競争入札について解説します。

 

一般競争入札とは

入札には、一般競争入札・指名競争入札・随意契約の3種類がありますが、不特定多数の参加者を募る「一般競争入札」が広く行われています。一般競争入札とは、入札の公開情報である公告により広く告知されます。官報やインターネットで公開され、発注機関が民間業者を募集し、発注機関に一番有利な条件を提示した民間業者と契約することをいいます。

官公庁からの発注は、その財源が国民の税金で賄われているため、入札という調達制度を設けています。民間企業にとって一般競争入札のメリットは、透明性、公平性、競争性、経済性が確保されることですが、デメリットは同業他社と価格競争となってしまうこともあり、民間企業の利益が通常より少なくなる場合があることです。

 

一般競争入札の参加資格 

「一般競争入札」は、基本的には不特定多数の民間企業が参加できますが、入札の際には参加資格が必要となります。これは、あらかじめ民間企業が契約する対象として、ふさわしいかどうか事前に審査するものです。

入札参加資格は、発注機関や業種によって全く異なります。入札に参加する際に、参加資格の申請を行う必要がありますが、昨今はオンラインで登録をしてから、書類を郵送するケースが多くなっています。

発注機関から民間業者への発注については、地方自治法234条2項により、「原則として一般競争入札によるべきこと」と定められ、基本的に不特定多数の民間企業が応募することが可能ではありますが、すべての民間業者の業務、製品、サービスなどの品質がその入札条件にふさわしいかどうかわかりません。そこで、一般競争入札ではあるものの、発注機関が入札参加資格を定め、入札に一定の条件を設けるという「制限付一般競争入札」が増えています。

 

一般競争入札の準備期間 

一般競争入札の応募期間は法律によって定められています。「予算決算及び会計令」の第七十四条では、“契約担当官等は、入札の方法により一般競争に付そうとするときは、その入札期日の前日から起算して少なくとも十日前に官報、新聞紙、掲示その他の方法により公告しなければならない。ただし、急を要する場合においては、その期間を五日までに短縮することができる”、とあります。

つまり、10日前(場合によっては5日前)までに公告する必要があるため、入札する際の参考にしてください。

 

一般競争入札の流れ

前述のとおり、発注機関ごとに参加資格が違うため、まず、入札に参加するための入札参加資格を取得必要があります。参加資格が取得出来たら、入札案件を探して、その入札案件の仕様書を入手しますが、基本的に説明会が開催されるため、できるだけ説明会に参加した方がいいでしょう。仕様書を確認して、入札に参加できそうであれば、提案内容や見積りなど、入札に必要な書類を作成して入札を行い、落札すれば契約締結となります。

 

(入札の流れ)

  1. 入札参加資格の取得
  2. 入札公告(案件)を探す
  3. 説明会への参加/仕様書の入手
  4. 必要書類の準備(提案書や見積り)
  5. 入札
  6. 契約(落札した場合のみ)

 

仕様書に書かれていること

発注機関が、発注する内容を定める書類を仕様書と言いますが、仕様書には、入札に参加する民間業者に対して発注内容の詳細や細かな制約が求められています。そのため、入札に参加する民間業者は仕様書を熟読し、内容を精査して、提案や見積書を作成する必要があります。

 

一般的に仕様書には、下記の事項が記載されております。

  • 発注内容の詳細
  • 発注側が考えている条件
  • 納入期日
  • 納入場所
  • 納入方法
  • 請求書の送付先
  • 支払い方法

 

上記は一例として記載しましたが、細かな条件がある場合があります。その条件を十分に把握できれば問題ありませんが、不明点がある場合は、必ず発注機関へ問い合わせをして確認するようにしましょう。

発注機関では、発注内容の説明会を開催するケースも多いので、その際は、必ず参加して発注内の把握を心掛けましょう。

 

入札時の注意点

 

参加資格について

入札参加資格を取得する際に、等級によって入札への参加が制限されることがあります。全省庁統一資格には等級というものがあり、売上高、自己資本、営業年数などによって、等級が決まります。A〜Dの4ランクに分類されていて、入札ごとに参加できる条件が異なります。そのため、自社のランクを踏まえて、入札できる案件かどうか事前に確認する必要があります。

 

提出書類について

提出書類に記載すべき内容は、入札案件ごとによって違います。かなり細かく具体的な内容が要求されることも少なくありません。必要事項や記載内容に不備がある場合は、そもそも入札できないため、漏れなどが内容に十分に注意しましょう。

 

入札について

書類提出による入札と電子調達システムによる入札があります。書類提出による入札は、発注機関窓口への直接提出ための交通費、郵送提出時の郵送費などのコストがかかるため、最近では、インターネット経由で電子的に処理する電子調達システムに移行しつつあります。

この電子調達システムですが、システム利用にブラウザの制限やセキュリティ設定などがありますので、事前に確認しておきましょう。

 

まとめ

一般競争入札には、通常の営業活動と違ったルールや手続きがあり、一見複雑そうですが、多くの企業が参加しています。参加資格が必要ではありますが、公正な入札制度ですので、今まで入札に参加したことのない企業でも、機会があれば、ぜひ、参加してみてはいかがでしょうか。