「働き方改革」を支援するIT

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「働き方改革」について考える

「働き方改革」という言葉をここ数年よく耳にします。実際に「働き方改革」に取り組む企業も年々増加しており、その事例についても様々な場所で目にするようになりました。日本政府が掲げている「働き方改革」の計画の中には、「長時間労働の是正」や「テレワークの推進」といったものがあります。

企業の「長時間労働の是正」についての対応として、すぐに思い浮かぶのが、「残業時間の制限」、もしくは、「残業禁止」でしょう。確かに、長時間労働で身体的、精神的に負担がかかっているような職場に対して、残業時間を制限することは、「働き方改革」以前の問題として、企業が取り組まなければならないことだと思いますが、そもそも残業をしなければ、こなせない業務量をこなすことで成り立っているのであれば、その穴埋めをどうするのかという課題がでてきます。

また、「テレワークの推進」については、「在宅勤務」や「リモートワーク」、「ノマドワーキング」を可能にし、どこでも仕事ができるようにするというのが目的です。これが実現できれば、小さなお子さんをお持ちの方や介護をされている方にも仕事をしていただく機会を作ることができる、また、通勤時間の削減、通勤時(満員電車での移動)のストレスの削減など従業員としてのメリットは少なくないと考えます。企業にとっても人材の確保、通勤費やオフィスコストの削減といったメリットを享受できます。一方で、仕事を自宅や他の場所で行うということから、仕事の指示、報告、相談といったコミュニケーションを取りづらくなるといった課題が出てきます。また、そのような勤務形態をする従業員に即した形の評価方法も検討しなければならないかもしれません。

IT活用により、上記の課題を解決するということは当然求められますし、それに加えて、会社以外の場所からのアクセスを安全に行わせる等、セキュリティ面の強化が必要となってきます。また、「リモートワーク」に関しては、第三者がいる場所での仕事を許可することになりますので、情報漏えいにも気を付けなければなりません。

このように、「働き方改革」を実施し、その効果を享受するためには、今以上に、仕事の効率化や、コミュニケーション、セキュリティといったことを考えなければならないのです。

とはいえ、「働き方改革」に取り組むということは、仕事を時間面、コスト面の両方で効率化や生産性の向上が実現し、その企業で働く従業員にとっても「ワークライフバランス」等、会社に対する満足度が高まり、働くモチベーションに少なからず良い影響が表れるでしょう。また、「働き方改革」に取り組んでいる、もしくはその結果として、働きやすい環境を整えているかどうかが、企業にとって人の採用にも影響するものと考えます。

本コラムでは、この「働き方改革」、特に「テレワーク」を支援するためのツールについて、ご紹介していきたいと思います。

 

私自身の体験から考えること

私が2011年当時勤めていた会社では、オフィスの移転と同時にITを活用した「テレワーク」の実施を開始しました。申請をして認められた従業員が、週2~3日の在宅勤務ができるようになり、私のチームでも2名が在宅勤務を行っていました。勤務時間中は、自宅であっても常に連絡が取れるようにしておくというのが、大前提のルールで、マイクロソフトの製品である、Lync(現在のSkype for Business)を使用しました。連絡を取らなければならない場合は、チャットで話しかけ、会話する必要がある場合や会議への参加も、Lyncで対応できていました。

また、2011年の東日本大震災時にもこの在宅勤務でのノウハウが生きました。震災後の1週間ほど、全社員が自宅待機となりました。これは、業務を停止する(休み)のではなく、自宅で可能な限り業務を遂行するということでした。その自宅待機の間でも通常通り、チームミーティングは行いましたし、コミュニケーションをとらなければならない場合でも問題なくとることができていました。このようにIT活用によるテレワークは、「事業の継続性」という観点でも有効な手段であると認識をしました。

 

「テレワーク」を実現するために必要なITとしての機能とITツール

それでは、このテレワークを行うためには、どのような機能が必要なのでしょうか。それを考えていきたいと思います。

 

  • メール
    メールは「テレワーク」というよりは、企業として必須のIT機能であるという意見に対しては異論がないと考えます。すでにほとんどの企業がメールシステムを活用しています。
  • チャット/コラボレーション
    SlackやSkype for BusinessなどのリアルタイムコミュニケーションのためのITツールです。会話をする相手が端末を使用できる環境であれば、メールよりも早い意思疎通が可能です。
  • 情報共有ツール
    SharePointなど、メールやファイルサーバーでの情報共有では難しい情報の共有を可能にします。例えば、ファイルの履歴管理やアップデートされた際のプッシュ通知等ができます。
  • オンライン会議システム
    Skype for Business, V-CUBE、WebEXなど、場所を選ばず、ネットワークを介して会議を行うシステムです。単なるIP電話ではなく、会議資料の共有やチャット機能と組み合わせて使用することが望ましいと考えます。
  • 端末管理/ポリシー管理
    ネットワークに接続される端末を管理し、許可された端末のみ使用可能にします。また、ネットワークに接続される端末に対して、ポリシーを強制できると、よりセキュアになります。
  • ユーザー管理/認証
    接続可能なユーザーを管理し、許可されたユーザーが許可されたツールを使用できるようにします。
  • ユーザー状態管理(プレゼンス管理)
    この機能は、必ずしも必要はないかもしれませんが、リモートにいるユーザーとコミュニケーションをとる上で役に立つ機能だと考えます。ネットワークに接続されているユーザーの状態を管理し、コミュニケーションが可能かの判断に役立たせる機能で、スケジュール(予定)機能と連動するとより使いやすくなります。

これらは、複数の製品やITツールを組み合わせることでも実現できますが、システムとしては複雑になってしまう可能性が高いでしょう。一つの製品で実現できれば、導入は比較的容易でしょうし、コスト的なメリットも出てくるかもしれません。

現状、Office 365をメールとしてのみ活用されている企業は多いと認識しています。Office 365は、メールはもちろん、チャット、情報共有など、「テレワーク」に必要なほとんどの機能を持っており、そのすべてがOffice 365のアカウントで統一した管理が行えます。また、クラウド製品として提供されているため、運用面でもシステム担当者の負担を極力減らすことができます。これらの理由から「テレワーク」の実施を検討される企業は、Office 365も必ず検討すべきであると考えます。

また、機能面に加えて、セキュリティ面についても十分に考慮しなければなりません。

次回は、「テレワーク」を実現する上で、最も重要な要素であるセキュリティについて、Office 365 のセキュリティ機能が「テレワーク」をどのように支援できるのかを説明します。