セキュリティ面を向上させるために、デスクトップ仮想化サービスを導入することは当たり前の時代になりました。最近では、クラウドを活用した様々なサービス(IaaS、SaaS、PaaS、DaaS)が登場しています。
本記事ではクラウドを活用したデスクトップ仮想化サービスの中で、セキュリティがしっかりし信頼性の高い”DaaS”をクローズアップして紹介します。
さまざまなクラウドサービス
DaaSのサービスを紹介する前に、様々クラウドサービスを紹介していきましょう。
①SaaS(Software as a Service)
SaaSはパッケージ製品として購入していたソフトウェアを、インターネット上からでもユーザーがサービスを利用することができる形態です。SaaSはデータをインターネット上に保存することができるため、ユーザーはPC、タブレット、スマホと端末を選ばずにアクセスすることが可能です。クラウド上にあるデータは同じデータを複数人で編集することができるので、効率的な作業も期待できます。
②PaaS(Platform as a Service)
ハードウェアやOSなどのプラットフォーム一式をネット上に提供する形態のもので、SaaSの発展系といってもよいでしょう。プラットフォームを外部に解放することで、企業やユーザーがフォーマット上でサービスを開発することになります。このシステムを活用すれば、コストを最小限に抑えてシステム開発を行うことが可能です。
③IaaS(Infrastructure as a Service)
仮想サーバーをなどのネットワークインフラをインフラ上のサービスとして提供する形態がIaaSです。最大の特徴はハードウェアのスペックやOSなどをユーザーが自由に設定して利用することができるところです。
④DaaS(Desktop as a Service)
デスクトップ仮想化システムをクラウドサービスとして提供したものです。VDI(Virtual Desktop Infrastructure)と呼ばれる従来のデスクトップ仮想化にはサーバーなどの専用機を自社で導入するケースが一般的なため、VDIを導入する企業は多額の初期投資が必要になるという高いハードルがありました。このVDIをクラウドでサービス提供を行うプロバイダをDaaSと呼びます。
DaaSを利用することで、サーバーなどの専用機を導入する必要がなく、クラウド上ですべての管理を行うことができるので、低コストでスムーズな導入を実現することが可能になりました。
Daas(クラウド型仮想デスクトップ)が必要な背景
DaaSは低コストで導入しやすいサービスということだけが魅力的なサービスではありません。
DaaSは端末に情報を残さずに運用することができるため、仮に端末の盗難にあったり、紛失したりしても、社外秘扱いの重要な情報が端末から漏洩してしまう恐れはありません。低コストでセキュリティ性の高い管理方法を探している企業の要望を実現したサービスだと言えるでしょう。
DaaS(クラウド型仮想デスクトップ)のメリット/デメリット
DaaSは万能なサービスではありません。ここからは、メリット、デメリットを紹介していきます。
①メリット
DaaSは、サーバーでデータを管理するため、端末の盗難や紛失があっても、データが漏えいすることはありません。また、低コストで管理がしやすくユーザーの利用状況で自由にプランを選ぶことができるというメリットがあります。
初期利用時のユーザーが最小人数でも、あとからユーザーを拡張することが可能です。従来の仮想デスクトップサービスではユーザー数などを柔軟に設定することができなかったり、導入コストが高かったりと、いくつかの高いハードルがありました。しかし、DaaSは従来抱えていた課題を解決したサービスであると言えるでしょう。
②デメリット
ネットワークを通じて仮想環境をクライアントPCに展開するため、その動作はネットワークに依存します。ネットワークの状況によっては動作などが遅くなることがあります。また、端末にセキュリティ情報を残さない一方で、サーバー環境やセキュリティはサービスを提供するプロバイダに依存することになります。
サーバーの障害や情報漏洩などを防ぐためには、サービスを提供する会社選びを慎重にする必要があると認識しておきましょう。
現状のDaasサービス例
DaaSを利用する際には、提供しているサービス会社を比較検討する必要があります。以下では、DaaSのサービス例を紹介します。
①freebit Cloud XDaaS
フリービットが提供する高セキュリティで、PC1台からでも利用することができるクラウドサービスです。さまざまな端末、場所からアクセスが自由にできます。VPN、AWSとさまざまなネットワークを連携させることも可能です。1ヶ月からトライアルで利用することができるので、トライアルで利用して利便性を確認しましょう。
②ソフトバンク デスクトップサービス
ソフトバンクが運営するDaaSです。アプリケーションやOSの管理もクラウド上で行うことが可能です。仮想デスクトップ上のデータは利用しているPCに残らないので、さまざまな端末から利用することができます。ソフト面だけでなく、既存の端末シンクライアント化するUSBを利用すれば、新たなシンクライアント端末を導入するハード面のサポートも充実しています。
③NEC Cloud DaaS2.0
NECが社内でも活用しているDaaSをコンシューマー向けに開発したものです。様々なウィルス、情報漏洩を対策したセキュリティシステムが特徴です。マルチデバイス対応なので、さまざまな場所から自由にアクセスすることが可能です。セキュリティ性が高い一方でWindowsのみのサービス提供のため、Macユーザーでは利用することができないというデメリットがあります。
④Fujitsu V-DaaS
富士通が管理しているDaaSです。富士通が使用しているデータセンターのサーバーを利用することができます。セキュリティが高いだけでなく、富士通で開発した既存のVIDを利用することができるので、安価でサービスを利用することができます。
⑤Microsoft 「Azure Virtual Desktop」と「Windows 365」
マイクロソフトが管理しているDaaSです。Microsoft Azureのクラウドサービス上でDaaSによる仮想デスクトップを利用することができます。マイクロソフト純正のDaaSとなるため、信頼性をもとめる場合に検討できるサービスです。
Windows365はWindows10向けの毎月定額を支払うサブスクリプションサービスです。シングルセッションのみを提供しています。
Azure Virtual Desktopは、Windows 10/8/7、Windows Server2012/2016/2019が利用でき、複数のユーザーが一度に接続できるマルチセッションに対応しています。
まとめ
DaaSは、情報漏えいを防ぐためのセキュリティ強化が実現するだけでなく、導入により営業マンの外出先での業務推進や安全なテレワーク運用にも活用でき、結果的に会社全体の業務効率化にもつながるサービスとして、今後、広がりが期待されます。