発表日時2021/9/9
警察庁は、2021年上半期のサイバー攻撃による被害報告を公表。同庁によると、企業・団体等からのランサムウェア被害について、各都道府県から警察庁への報告件数が、61件と前年下半期の21件に比べ大幅に増加した。61件のうち、金銭の要求被害は35件で、このうち、77%を占める27件で、金銭を支払わない場合は、データを公開するという二重恐喝の手口であり、また、金銭の要求は暗号資産によるものが90%であった。被害にあった企業・団体の規模については、大企業が17件、中小企業は40件であったことから規模を問わず被害が発生しており、被害にあった企業のアンケート調査を行った結果、感染経路について、回答があった31件のうち、VPN機器からの侵入が17件で全体の55%、リモートデスクトップからの侵入が7件で全体の23%であり、調査・復旧費用の総額については、回答があった39件のうち、全体の39%の15件で1,000万円以上の費用を費やしていた。
新型コロナウイルスに関連するサイバー犯罪では、各都道府県から警察庁への報告件数が109件であり、詐欺が59件で全体の54.1%、不審メール・不審サイトが24件で全体の22.0%を占めていたが、前年度より499件の減少となった。その他にも、インターネットバンキングに係る不正送金については、前年度と比較し件数は減ったが、大きな被害が発生しており、被害としては、金融機関や宅配業者を装ったSMSやメールを用いてフィッシングサイトへ誘導し、個人情報を窃取する手口が多い。また、悪質なショッピングサイトの被害の報告は、6,535件と前年度に比べ1,516件増加していることから、新型コロナウイルスの影響によりインターネットの利用が増えたことが要因であると考えている。警視庁では、サイバー空間をめぐる脅威は極めて深刻であるとして、サイバー事案への対処能力を強化していくとしている。