テレワークとは、インターネットなどの情報通信技術(ICT)を活用して、オフィスなど固定の場所に依存しないリモートワークなどによる柔軟な働き方のことです。
厚生労働省が提唱する「働き方改革」により、働く方々の個人の事情を考慮して、柔軟で多様な働き方を選べることが可能となる社会・世の中を実現することが掲げられています。
会社など固定の場所のみで働く場合、準備や移動時間が必要となります。介護や育児においても移動時間が削減できることのメリットは計り知れません。テレワークは生産性を向上させ、仕事やプライベートの柔軟性を高める働き方になります。
本サイトでは総務省テレワークセキュリティガイドラインを中心に、テレワークとセキュリティ対策に関してご紹介します。
テレワークにも複数の種類が存在し、複数箇所など場所にとらわれない働き方をハイブリッドワークとも呼ばれます。
今後はオフィスワークとテレワークを融合した「ハイブリッドワーク」による新しい働き方が進むことが予測されます。これまで持ち出しが少なかったパソコンを持ち出したことにより、セキュリティの観点も考慮する必要があります。個人情報など重要なデータが保存されたパソコンを持ち出して利便性を高めることは、万が一盗難・紛失が発生した場合に第三者が不正アクセスすることで情報漏洩が発生する可能性があります。
企業は情報漏洩などの脅威に備えて、セキュリティ対策の導入を進める必要性が求められています。
総務省はテレワークにおけるセキュリティについてガイドラインと、中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)を公開しています。
企業等がテレワークを実施する際のセキュリティにおける不安を払拭し、セキュリティ対策の考え方や具体例などを公表しています。
テレワークを取り巻く環境やセキュリティ動向の変化に対応
引用:総務省テレワークセキュリティガイドライン(第5版)
テレワークに関連する資料やガイドラインを整理してご紹介します。
出典:IPA (独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンター)
非常に沢山の省庁や団体から発行されていることが分かります。
是非ご興味のあるガイドラインには目を通してみてください。
総務省のテレワークセキュリティガイドラインによると、テレワーク方式にもさまざまな方式が存在しています。
No | テレワーク方式 | 解説(独自で解説を追加しています) |
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1 | VPN方式 | PCからオフィスネットワークにVPN接続を行って業務する方法です。 昔から利用されている実績の多いアクセス方式で導入も手軽です。安全に利用するためセキュリティ設定やパッチなどメンテナンスが重要です。 |
2 | リモートデスクトップ方式 | オフィスに設置されたPCやサーバーのデスクトップ環境に接続して業務する方法です。 Windowsのリモートデスクトップサービス等の画面転送サービスを利用するアクセス方式です。接続先がPCの場合、オフィスとテレワークの2台の端末が必要です。 |
3 | 仮想デスクトップ(VDI)方式 | PCから仮想PCのデスクトップ環境に接続して業務する方法です。 物理PCではなく仮想PCを用意してアクセスする方式です。台数が多い場合に管理が便利ですが、初期コストが大きく大企業などで採用されるケースがあります。 |
4 | セキュアコンテナ方式 | テレワーク端末のローカル環境とは独立した仮想的な環境を設けて、仮想環境内でアプリケーションを動かし業務を行う方式です。 セキュリティを考慮した方式ですが、使用アプリケーションがセキュアコンテナ方式に対応するかの確認が必要です。 |
5 | セキュアブラウザ方式 | セキュアなインターネットブラウザを利用し、システム等にアクセスする方式です。 ファイルダウンロード制限などセキュリティを考慮した方式ですが、使用アプリケーションがセキュアブラウザ方式に対応するかの確認が必要です。 |
6 | クラウドサービス方式 | インターネット上のクラウドサービスにPCから直接接続し業務を行う方法です。 オンプレミス環境のシステムでなく、クラウドサービスを直接利用します。オフィスネットワークを経由しないことが可能であるため、セキュリティ上の対策が必要です。 |
7 | スタンドアロン方式 | テレワーク端末に必要なデータを保存して業務を行う方法です。 特別な機器やサービスも不要で、すぐにテレワークが実施できることが最大のメリットです。ローカルにデータを保存する事で利便性が低くセキュリティ対策も必要です。 |
既にテレワークが導入されている企業であっても、ご紹介したどれか1つだけのテレワーク方式で実現しているとは限りません。複数の方式が同時に使用されている場合もあります。
例えば、VPN方式でパソコンから社内ネットワークに接続し、その後リモートデスクトップなどの画面転送技術を用いてサーバーやPCに接続するなどを組み合わせています。
各テレワーク方式はどのような特性があるでしょうか。
以下の表では、リスクや影響を色で表しいます。取り合わせて閲覧ください。
テレワーク方式 | オフィス業務の再現性 | 通信集中時の影響度 | システム導入コスト | システム導入作業負荷 | セキュリティ統制の容易性 | ポイント(想定される使い方) |
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① VPN方式 | Sオフィスと同等の業務が可能 | A影響を受けるが、端末側(ローカル)作業で一部回避可 | Bシステム導入が必要 | B環境変更を伴うシステム導入が必要 | Cデータ管理とセキュリティ統制が必要 | 業務再現性が高く、通信集中にも対応したい場合の利用が想定 |
② リモートデスクトップ | Sオフィスと同等の業務が可能 | C影響を受けやすい | Bシステム導入が必要 | B環境変更を伴うシステム導入が必要 | Aデータ保存を制限でき、データ管理が容易 | 業務再現性が高く、セキュリティやコストをバランスする場合の利用が想定 |
③ 仮想デスクトップ(VDI)方式 | Sオフィスと同等の業務が可能 | C影響を受けやすい | C高額なシステム導入が必要 | C大きな環境変更を伴うシステム導入が必要 | Sデータ保存を制限でき、セキュリティの集中管理が容易 | 業務再現性が高く、高度なセキュリティを実現したい場合の利用が想定 |
④ セキュアコンテナ方式 | B特定のアプリケーションやシステムでの作業のみ可能 | A影響を受けるが、端末側(ローカル)作業で一部回避可 | Bシステム導入が必要 | B環境変更を伴うシステム導入が必要 | Aデータ保存を制限でき、データ管理が容易 | セキュリティを確保しつつ通信集中にも対応したい場合の利用が想定 |
⑤ セキュアブラウザ方式 | Cメールや資料閲覧に限定 | B影響を受けるが影響は軽微 | Bシステム導入が必要 | B環境変更を伴うシステム導入が必要 | Aデータ保存を制限でき、データ管理が容易 | セキュリティを重視した、特定業務での利用が想定 |
⑥ クラウドサービス方式 | B特定のアプリケーションやシステムでの作業のみ可能 | Sオフィスネットワークに接続しないため影響なし | Aサービス導入費(使用量に応じた必要最小限)が必要 | A比較的軽微な環境変更で利用可能 | Dデータ管理に加え、クラウド上でのデータ管理が必要 | 拡張性を重視した、特定業務での利用が想定 |
⑦ スタンドアロン方式 | D端末に保存したデータのみの作業が可能 | S通信をしないため影響なし | S追加のシステム・サービス不要 | Sシステム変更不要 | Cデータ管理とセキュリティ統制が必要 | コストと導入のしやすさを重視した臨時利用が想定 |
特性比較の評価は、特性軸ごとに、次の5段階で行っています。
評価に当たり、各テレワーク方式は一般的な構成を想定しています。
使用する製品やサービス、具体的なシステム構築方法や構築規模によっては、評価が前後する場合があります。
出典:総務省 テレワークセキュリティガイドライン
メリット(情報漏洩リスク低・ネットワーク影響なし コスト・負荷低い)とデメリット(情報漏洩リスク高・ネットワーク影響あり コスト・負荷高い)の見解を追記してますが、全てを満たしたテレワーク方式があるわけではないことが分かります。
PCでテレワークを実施する場合、幾つかの情報漏洩対策が重要です。
テレワーク・情報漏洩・テレワーク方式・ガイドライン・相談窓口などテレワーク時の情報漏洩対策をご紹介しました。
テレワークは手段であり目的ではありません。テレワークで何を実現したいのか?テレワークを導入することによるメリット・デメリットを企業はしっかりと検討する必要があります。
特に持ち出したPCに対して、セキュリティ対策無しのテレワークは非常にリスクを伴いセキュリティ事故が発生します。
パソコンにデータが保管される場合には、リモートワイプ製品などのセキュリティ対策は実施したうえでテレワークを進めるようにしましょう。